体重は37kgまで落ち、医師からは「血液検査の結果も血糖値の数値が異常に低く、血圧も上が70を切り始めているのでいつ倒れてもおかしくありません。今すぐ入院して下さい。このままだと死ぬ危険性もあります」と言われたが、入院はもちろん点滴さえ断り続けた。
母は、私の食生活や体型の変化、医師に言われたことなどすべて知っていたが「そんなんじゃ痩せちゃうよ」と言うだけで、なんの気配りも心配してる様子もなかった。
今思うとキッカケはただの食欲不振からだったが、母には言葉では何も本音を言えないからこそ、身体で訴えかけようとしていたように思う。
そして、生活費を取りに父の所へ行くと、母のせいで食べていないと思われているのではないかと、母は常に自分の心配だけしかしていなかった。
医師から、病状悪化に伴い入院など家族に説明をしたいと言われたため、父と一樹と病状説明を聞きに行くことになった。母は、父に会いたくないからという理由で病院には来なかった。
一樹は、日に日に痩せていく私に強引に食べさせようとしたこともあり、抵抗した私の手首を掴んだ時「こんなに細くなって……」と涙を浮かべたりもした。
私が入院や治療すべてを拒否し、治療は受けなかったけれど、結果的に治ったキッカケはとても単純なものだった。ある時ふと、自分のしていることが馬鹿馬鹿しく思えたのだ。
私が痩せ細っていこうと、母は私に関心がなく心配もせず、それに反発するように抵抗してきたけれど、私を心配し愛してほしいのに、現実は、絶望的な母親の姿しかなかった。
このまま痩せ細って仮に死んだとしてもただの無駄死にだ。
このことでより一層、母には私への愛情などないのだと再確認させられただけだった。
拒食症が治ったのは、自分の愚かさに気づいたことと、やはり一樹の存在が大きかった。
ダイエットがキッカケで拒食症になる人もきっと、エスカレートしていった先にこういう結果があるのかもしれない。