あの頃、何度も自殺未遂と精神科の入退院を繰り返し、手首をしょっちゅう傷つけ、タバコの火を身体に何度も押しつけ、自分を痛めつけることしかできない無力な私を、一樹はずっと見離さず、変に励ますわけでもなく、ただ隣で寄り添い続けてくれた。
20代は、その後もいろんなことがあった。
23歳の頃、精神科で処方されている薬すべてを、時間をかけてやめた。私には最後にどうしても捨てきれなかった保育士の夢をもう一度だけ掴むチャンスがほしかったのだ。
精神薬に無知識の私は医師に処方されるがままに飲み、次第にろれつが回らなくなっていき、話し方もとてもゆっくりになっていた。
私自身まったく自覚はなく、入院中にお見舞いに来てくれた一樹に言われて初めて知ったのだ。
病院内で仲の良かった子がまさに薬漬けになっていき、ろれつが回らず聞き取りにくくなっていく姿を目の当たりにした。私はその入り口に片足を突っ込み始めているのだという一樹の一言と、入院中に出会った人を通して、このままではダメだ。そんなふうになりたくないと思った。
完全に薬漬けの人も見てきたが、一日中ボーッとどこか遠くを見つめているような目で、ただ一日中椅子に腰掛け、言葉もあまり話さず毎日を過ごしていた。薬のせいで物事を考える脳の伝達経路を含め機能しきれていないように思えた。
けれど、一瞬それはそれで幸せなのかもしれないと思えた。いっそ壊れきってしまった方が、楽になれるのではないか。