とりあえず、保健室登校で構わないから、出席日数を増やしてほしいと、担任の先生に言われ、気が向いたときだけ保健室登校をした。でも、高校に進学したところで、楽しい未来など待ってはいない。
小学校、中学校と同じ線上に高校というものがあるだけで、この敷かれたレールにのることが当然のように周りは動いてゆく。
まだこの生活を"義務"を続けさせられるのか。
そんな中学最後の年、保健室登校で学校にいた私に、保健室の先生が話しかけてきた。
「何か悩みでもあるの? あるなら、話してみてくれない?」と。
私は、大人など信頼できるわけもなく「別になにも……」とあっさり答えた。
それに対し、先生は〈あっそ……〉と言わんばかりの顔をし、突然掌を返したかのように態度が冷たくなった。
私は、大人なんて、先生なんて、ただの立場と形だけで本気で私の心配などしているわけがないと思っていたので、特別ショックでもなく、大人への不信感を再認識させられただけだった。
心配しているフリ。優しくするフリ。もう散々だ。
正直、高校なんて当時の私にとっては心底どうでも良かったのだ。
けれど、どこも受験しないというわけにはいかず、公立の高校は自宅から通えてランクの低い学校を受験し、滑り止めは本当に何も考えず先生に言われるまま、電車で一駅ほどの所にある、私立高校を受験した。
どうせ受かったとしても行ける自信はなかった。