米国にはパワハラという概念はありません。パワハラは全くの和製英語です。パワハラがある特定の人種に向けられれば〝人種による差別〟、女性に向けられれば〝性による差別〟、つまりセクハラとなりますが、パワハラそのものを禁止する法律はありません。

パワハラを受けたとき、やめる自由を担保するための社会的基盤が整っているからです。

米国でもハラスメントの深刻度が極端な場合は〝不法行為〟(Tort)として問題になるでしょうが、パワハラが経営の在り方として疑問視されても、法律上の問題となることは通常ありません。

日本では、上司が部下の仕事ぶりに対し厳しい指導をしたり、注文を付けたりすることまでパワハラとして従業員よりクレームをつけられるケースがあると聞きますが、これでは健全な経営が阻害されてしまいます。終身雇用制度自体の行き詰まりを物語っているようにも思われます。

ゼネラル・エレクトリックス社(GE)の最高経営責任者を務め、経営の神様と言われたジャック・ウェルチは、「当社では毎年10%の社員を解雇し、10%の新しい社員を採用します。会社幹部には解雇対象の部下10%を抽出するように指示をします。その幹部がこれを拒むなら、お前を解雇すると言います」と述べています。

「解雇されることは、その人が必ずしも無能だからではありません。GEの水に合わないだけかもしれませんし、たまたまGEにとっては必要な人材ではなかったということかもしれません。そのような社員が別の会社で働き活躍できれば社会にとってこんなに良いことはありません。

GEがこのような人材を独り占めするのは良くないことです。GEは解雇することにより、他の会社に人材を供給できるわけで、社会貢献をしているのです」とも言っています。

事例 従業員か契約者か、米国の「独立自尊」の価値観を揺り動かした
――「ウーバー訴訟」

〝違法な差別〟の事例が続きましたが、〝違法な差別禁止〟は、あくまで「任意雇用」を大原則としつつ、その「例外」として位置する雇用法上の概念です。同様に例外として最低賃金や残業手当の支給等、最低限の保証が従業員には与えられております。しかしながら、このような保護は独立の事業者には適用されません。

 

【前回の記事を読む】米国では違法な差別となり得る:面接において「土曜日に働けますか?」という質問…

 

【イチオシ記事】遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる

【注目記事】静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた