中学2年生に入ってから、友達との会話の中で性に関する話題が増えてきた。

そして、いろんな話を聞いていく中で、あの日のりょうくんとの出来事の意味を知ったのだ。何をしようとしていたのか……。

理解してしまったときは、また違う衝撃を受けた。納得はもちろん、心の整理などつくはずもなかった。

そこから徐々に、私の欠席日数は増えていき、中学3年生の頃には力尽きたようにまったく学校へ行けなくなっていた。

家でも本当に辛い日々だった。朝、母親に起こされ学校へ行かないと判断されると、その日は夜まで完全に無視、放置である。

この頃には私は、夜は一睡もできず、朝、母が行かせることを諦めて私の部屋を出て行くと、そこから泥のように眠る毎日。会話もしてくれないし、食事も用意されていない。

昼頃に目を覚ますと、私は母親がいるリビングを通りキッチンへ行き、食パン一枚とお茶を持って自室へと戻る。

「お母さん」と声をかけても返事すらなく、私の記憶にあるのは、テレビに向かったままの母親の後ろ姿だけだ。

まるで、私はこの家にいないような、この世にいないような気さえしてきた。そんな苦痛を味わってから私は、平日の朝から夜まで自分の部屋から出ることをやめた。

しかし、夜になると威圧的な父が帰ってくるという、また違う恐怖が待っている。

いっきに緊張感が高まる瞬間だ。

夕食のとき、母親から声をかけられるまでは、息を潜めているような毎日。

父の前にいると心も身体もこわばる。

「学校へ行ったのか?」

ある日、ふと夕食を食べながら父が言った。

私が何も答えずにいると、父はテーブルをものすごい勢いで叩き、私はもちろん兄や弟も黙って食事を終えた。今でも覚えている。あの日の夕飯のシチューはまったく味がしなかった。