第一部
幼少期
一緒に寝かせてもらえる時もあったのだが、今思うと、その対応の違いはきっと父と母の営みが関係したのだろう。
でも、そんなことは当時の幼い私には分からないことだ。また、物心がつく頃から爪を噛む癖があった。
手だけではなく、足の爪まで噛んでいた記憶がある。そして、血が出るほど指の皮をめくり、唇の皮膚も食べていた。
”わたしを見て”という幼児期の神経症状のひとつだったのかもしれない。
そんな私も小学生になった。学校は大好きだった。
自分で言うのもなんだが、社交的で人見知りもしない。
目立ちたがり屋で、4年生の頃は放送部だった。
朝、給食、昼休み、掃除の時間、帰りの会など、その時その時に流す音楽をセットし、私は放送室のマイクに向かった。学校中に、自分の声が届いている。
それが、なんだかとても嬉しかった。
私はここにいるのだと感じられる、いわばひとつの居場所だった。
また、歌を歌うことが大好きで合唱部に入り、放課後は歌の練習をし、全国音楽合唱コンクールで銅賞をとったこともあった。その時の努力が報われた感動や一緒に練習を共にしみんなと喜びを分かち合った瞬間は今でも忘れない。