銅賞をとったことで地域の地方テレビでその模様が放送された。
他にも、幼少期から小学生の途中までピアノを習ったりしていたが、クラスでは、常に指揮者を志願し、高学年からは全校生徒の校歌の指揮者も任されていた。運動会では応援団を務め、その時期になると放課後は応援団の練習に明け暮れる日々を過ごした。
とにかく私は、学校が大好きで、無遅刻無欠席の皆勤賞の賞状を3年連続でもらったほどだった。
しかし小学校5年生の後半から、私の人生の歯車が狂い始めた。
5年生の3学期だったか、秋だったのか、細かくは思い出せない。
けれど、私にとってひとつの事件が起こった。
当時、隣に住む5つ上の仲の良い人がいた。
りょうくんといって、兄とも仲が良く、しょっちゅう家に遊びに来ていた。
物心がつく前から兄も交え遊んでいたので、りょうくんとはある意味兄弟のように育った。
そんなある日のことだった。
いつものように彼と一緒に部屋で遊んでいた時、突然、手を引っ張られ、部屋の端へ連れていかれた。そこで、後ろからはがいじめにされて、私は身動きがとれなくなった。
その瞬間までは、遊びの延長だと思っていたのだが、彼の手が私の胸に触れた途端に私は恐怖を覚えた。大声を出そうとしたが口を塞がれ、服の上から胸元、太ももなどをまさぐられた。心の中で「お母さん! 助けて! お母さん」と私は叫んだ。
でも、その声が届くはずもなく、死に物狂いでなんとか彼から逃れ、私はとっさに鍵のある父と母の寝室へと逃げ込んだ。
両親の寝室に入るとすぐに鍵をかけ、とりあえず近くにあるものを片っ端からドアの前に置いた。