就学前の子ども達をランダムに、プログラムを受けるグループとそうでないグループの2つに分け、2年間教育プログラムを行った後、さらに40年にわたって追跡調査を行いました。
この教育プログラムにおいては、「子ども達が主体となる学び方(アクティブラーニング)」による教育が施され、週1回は家庭訪問によって親子の関わり方について指導が行われました。
結論として、2つのグループの間に認知機能の差は認められなかったものの、プログラムを受けたグループはより安定した社会生活を送り、さらに犯罪率や生活保護受給率が低いことがわかりました。
2つのグループをIQ値に注目して比べてみると、小学校入学後は2つのグループの間のIQ値に大きな差が生じましたが、8歳の時点ではその差はほぼなくなりました。
40年後もIQ値に大きな差はありませんでした。しかし、持ち家率など生活水準には大きな差が生じていました。子ども達は2年間教育プログラムを受けたわけですが、それはテストの点数に影響するような知識やスキルを教わる小学校入学以前のことです。
彼らは3〜6歳という年齢でした。そこで彼らが学習できたのは、"自制心" "粘り強さ" "動機付け" などの非認知能力が主であったと考えられました。
そしてこの「ペリー就学前プロジェクト」の結果を受けて、2つのグループの社会的な差を生み出したのが認知能力以外の能力、つまり非認知能力ではないかと考えられるようになったのです。
そして、認知能力、非認知能力はともに人間が獲得できるスキルですが、このスキルというものには「スキルがスキルを生む」という性質があります。各国でこの手の研究が多く行われるようになり、いくつかの事実が明らかになりました。もう少し詳しく見てみましょう。
ある年齢において、認知能力のスキルが高い人は翌年も高いスキルを発揮することが予測できます。テストの成績が良い子は、勉強のスキルや基礎となる知識量が高いので翌年も良い成績を取る可能性が高いと言えるのです。これは「スキルがスキルを生む」例と言えます。
非認知能力である社会情緒的スキルが高い子も社会的にうまくいった経験値が重なり、同じように「スキルがスキルを生む」ので翌年も社会情緒的に高い能力を示す可能性が高くなります。
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