【前回の記事を読む】聞き上手な人は"とある欲求"の存在をよくしっている。「〇〇さんにこんなこと言われたのよ」という会話が伝えたいのは.....
第一章 認知症におけるEQ
共感する能力
ダニエル・ゴールマンは著書の中でネグレクトされた乳児の話を通して、母親が乳児に対して行うミラーリング行為について紹介しています。
母親は無意識のうちに乳児の反応に対してミラーリングを行い、その結果乳児には共感する能力が育まれると言います。
乳児が嗤(わら)った時に、母親が笑顔を返してくれるというのは、実はとても重要な教育であるということなのです。
おそらく乳児はまだあまり使ったことがなくて慣れない感情の表現を、すぐに相手に受け入れてもらえたことで安心感を得るのではないでしょうか?
そして自分の表現に対する母親の感情の反応をその都度学習することで、乳児には共感の能力も備わっていくと考えられます。
ですからすでに幼児期でさえ、他の子どもの感情に敏感な子と鈍感な子が存在します。他の子どもの感情に敏感で、しかもその感情に同調できる子は、たぶん他の子達から慕われるに違いありません。
そのような能力がゆくゆく社交的な能力になっていくのでしょう。
非認知能力にスポットが当たっていなかった時代はそのような能力自体に気づかれていませんでしたし、そのような能力を伸ばす努力もされてきませんでした。
しかし現在はそのような能力が存在することがわかり、そのような能力を伸ばす方法もわかってきているので、これからは努力次第で共感できる人間に変わることができるのです。
これらの非認知能力を実生活でうまく活用していくために、また高齢になっても、認知症になっても幸せに過ごすために、そして認知症患者とうまくつきあっていくためにEQ理論で感情をうまく使いこなす方法をこれから学んでいきましょう。