孤独を半孤独にして楽しむ方法
「林住期」での「孤独」を生きるために最初にすべきことは、「鎧を脱ぐ」ことからです。
これまでの50数年間に身に着けてきたものの一つ一つを脱ぎ捨てていくことが俗世間から離脱する第一歩になります。
会社という組織社会の中で獲得した地位や評価などはすべて過去の名利であり、現在の自分には必要のないものです。その時々に必死に努力してきたものも、その場限りの実績です。
起業して現在まで成長してきた会社も他人にゆだねることで、自分の手元から離れました。その時は社会の役に立つ仕事をしているという気概もありました。社員の生活を守ることが自負でもありました。
これらの実績や思い出はすべて過去の遺産です。「林住期」を生きるためには、これらすべてを脱ぎ捨てて身軽になる必要があります。新たに自分自身の人生を生きる時間を作るためです。なすべきことを中心に生きることを始めるときです。
「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の『間』にあるのである」(三木清著「人生論ノート」)。
ここでいう「孤独」は、世間という人々が集まるなかで、自分がいても、誰もが自分に関心を示さず、話す相手もいない、誰も自分を見てくれる人がいない状態を「孤独」と言っています。会社でも学校でも、共通の話題をもって話ができる友人がいないと孤独感にさいなまれます。
「孤独」と「孤立」は違う。自分の周りに誰もいない環境で、一人でいることが「孤独」ではない。多分にその人の主観的な思いが影響しているのではないかと思います。
引退を機会に、まず自分の居場所を確保することを考えて、それまで空き部屋になっていた南向きの明るい子供部屋を自分の隠居部屋に改装しました。
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