十二時五分、「衝立山電波警戒機」の残骸箇所に到着です。車両の残骸も脇に放置してあり、当時、電波警戒機を各所に運搬して使用したのでしょうか。アンテナもあるわけではなく、素人的には説明を受けないと何の残骸なのか定かではありません。
何回となくカメラを向け、色々な角度から撮影してきているのですが、こうした戦跡は何回観ても新たな発見があって飽きることはありません。
十二時二十分、コンクリートの廃屋で監視哨なのか、朽ちることなくしっかりと建っている横を通り過ぎて先を急ぐこととします。
途中、淡々と平坦な樹間の中を歩き続け、急に展望が開けた所で、感嘆の声を上げつつ、高山方面から天之浦方面までの一八〇度の見事なまでのパノラマの利く場所で写真撮影となります。
正面には、緑の絨毯、南崎の露出したラテライト質の地肌の赤、マリンブルーの海面と……。言葉では簡単に表現出来ない原色の強烈な世界が眼前に広がっています。本当にこの世の世界とは思われない光景です。
十二時四十分、衝立山稜線を下って、真っ赤に剥き出しとなった地肌の通称「ハートロック」の上に出ます。
空には、大分雲が出始めていますが、未だ見通しも利いています。デジカメではなく一眼レフをザックから出して、三六〇度の情景写真の撮影です。バシャバシャ! とシャッターの音が心地良く辺りに鳴り響いています。
なかなかここまで来る人は少ないのでしょう。十数年前は、踏み跡もなく大変であったことが思い出されてくるのですが、現在はガイドをはじめ多くの人が入ってきており、トレールもはっきりしています。
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