「警子、ここで立ち話も何だから後はラウンジで……」と二人をラウンジへと促しながら

「二人とも自己紹介済んだから、私は帰るわね」と言い残して如月はさっさと帰っていってしまった。二人はラウンジへと移動し話の本題に入った。

「ぶしつけで失礼かと思いますが任期制の海上自衛官を志願された理由を教えてもらえますか?」と桜田が問うと

「私は母子家庭で育ちました。その為、高校生の時から奨学金の支給を受けていたのですが、正看の資格取得を目指していたので厚労省指定の看護師専門学校へ進学する必要があり、四年制大学生並みの奨学金を借りる羽目になり、高校生の時の奨学金と合わせて返済すべき総額が六〇〇万円程になってしまいました。

この六〇〇万円の返済を引きずっていては結婚もままならないと思い、一大決心して一番短期間で返済できる海上自衛隊の任期制に志願して二年の任期を延長して四年間勤め上げ完済しました」と桜田が予想していた通りの奨学金返済の為の任期制海上自衛官志願であった。

「さっき陽子がご主人とお子さんの三人暮らしと言っていたけど、ひょっとしてご主人は自衛官?」と質すと

「はい、海上自衛官です」と答えた。

「あれ、職場結婚という事?」と訊ねると

「私が乗っていた護衛艦に乗船勤務していた際、怪我をして私が詰めていた医務室にやって来て、私がその怪我を処置した事がきっかけでした」と馴れ初めを教えてくれた。

「運命の出会いだった訳だ!」とすっかり女子会の恋バナ風になってきた。