第二章 調査1、調査2、お手本は自衛隊
それから一週間後、看護師をしているという斉藤百合子に先に会う事にして、如月に電話を入れた。
「あ、陽子、例の件だけど最初に優等生の看護師さんに引き合わせてくれない?」と開口一番に言うと
「いいわよ。貴方の都合を先に教えて、アポ取るから……」と言われ、都合のいい日時を伝えると
「分かった、それで調整してみる」と言って電話を切った。
その日の夕方如月から電話があり、桜田が非番の休日にセッティングできたと伝えられ、場所は横浜みなとみらいにあるホテルのラウンジとの事であった。
当日約束の時間より一〇分ほど早くホテルの玄関に辿り着いた桜田に「警子」と如月が後ろから声を掛けた。
「あら陽子、貴方達も今……」と声を掛けると
「紹介するわ、こちらが斉藤百合子さん。元任期制海上自衛官を二期務め上げ、今は看護師さんとしてお勤めされていて、ご主人とお子さんの三人暮らしをされているの」と紹介され、桜田は名刺を差し出しながら
「内閣府所属の児童・母子福祉警察警察官桜田警子です」と挨拶すると、名刺を受け取り一瞥した斉藤百合子が吹き出した。
「ごめんなさい、警部さんですか。凄いんですね。それにしても余りに刑事さんに相応しいお名前で思わず……」と言葉を濁した。
「あっ、大丈夫です。口の悪いおじさん達には警察の権化(ごんげ)だとか警視庁の権化(ごんげ)って揶揄(からか)われていますから、名前が変だという事には慣れています」と自己紹介した。すると