お風呂から上がった結迦は、身体が冷めないうちにベッドに入った。喉(のど)が痛くなっても困ると思った結迦は、エアコンのスイッチを切った。ホテルに備えつけの掛布団が薄く、少々不安になったが、あきらめて寝るしかない。そう思った結迦は、頭からすっぽりと布団をかぶった。いや、その前に……。
「信長さまに、どうか私の想いが届きますように。
信長さま、お願いがあります。聞いてくださいますか。私は明日、安土城址へ伺う予定の結迦と申します。数年前から、信長さまが過ごされた安土城址をいつか訪れてみたいと、ずっと思ってきました。信長さまのエネルギーを感じてみたい……。
ようやくその想いが叶いそうで、うれしく思っています。本当に感じることができるのか、確信はないのですが、その場所へ行けるだけでもワクワクしています。もしも信長さまが、私の近くに来てくださるとしたら、こんなにうれしいことはありません。
この声が、信長さまに本当に届いているのかどうかさえもわかりませんが、もしもおそばにいらしてくださったなら、霊能力のない、見えない私でもわかるようなサインで教えていただけましたら、ありがたいです。
あなたのことを、なぜだか感じてみたいのです。本当に一方的で、わがまま勝手なお願いであることは承知しています。ごめんなさい。もしも、この願いを聞いてやってもよいと思ってくださるのでしたら、どうかせつにお願い申し上げます。わかるように教えてくださいますか」
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