空海を訪ねて 2017年10月11日(水)~ 13日(金)

真言宗(しんごんしゅう)の開祖空海(くうかい)は平安時代、遣唐使の一員として唐に渡り、長安の青龍寺で恵果(けいか)に師事し密教(みっきょう)を学んだ。当時、恵果は密教の最高権威者であった。空海は恵果に認められ、密教のすべてを授(さず)けられた。

恵果の死後、恵果の遺言に従い、密教の教えを広めるため帰国の途に就いた。帰国直後の空海の足跡は明らかではないが、嵯峨(さが)天皇の時代になって空海の活躍はめざましくなる。

嵯峨天皇は密教を支持し、全面的に空海をバックアップした。空海は嵯峨天皇から高野山(こうやさん)の地と東寺(とうじ)を賜(たまわ)り、高野山を修行の場に、東寺は京都における布教の拠点とした。

空海は密教を広めるため諸国を行脚(あんぎゃ)し、各地にたくさんの伝説が残る。まるで空海が10人も20人もいたかのように。ただその伝説をいくつか差し引いても、空海のことを知れば知るほど、天才で偉大な思想家だと思う。

10月11日

今回は空海ゆかりの地、神護寺と東寺を訪ねる。まず京都駅からバスに乗り、神護寺へ向かう。

神護寺(じんごじ)

神護寺の高雄(尾)(たかお)、西明寺(さいみょうじ)の槙尾(まきのお) 、高山寺(こうさんじ)の栂尾(とがのお)を合わせて「三尾(さんび)」と呼び、古くから紅葉の名所として知られる。しかし混雑を嫌い、紅葉の時季を避けてやってきた。紅葉の盛りにはまだ早い。

「山城高雄」でバスを下車し、高雄橋で清滝川(きよたきがわ)を渡り、長い参道を上っていく。楼門(ろうもん)で拝観受付を済ませ境内に入る。境内は広々とすっきりしていて、楓(かえで)が紅(あか)く染まり始めている。早くも紅葉の季節を予告するかのようだ。