M: 境界型が減少傾向なのは2008年に始まった「特定健診・特定保健指導」が大きく関係しています。特定健診は、国のメタボ対策の柱として始まった40~74歳の人が無料で受けられる健康診査です。特定健診で肥満や血糖値高めの人を見つけて、特定保健指導で保健師さんや管理栄養士さんが生活介入して減量させて、糖尿病への移行を防ぐという日本独自の優れたシステムです。

A: 特定健診を受けましょう!というCM、最近よく見かけます。健診で血糖高めの人を見つけて重点的に介入するので、境界型が減っているのですね。

M: そのとおりです。健診の結果、明らかに糖尿病になっている人には、医療機関への受診を勧めます。糖尿病にならないように生活を整えることを「1次予防」、糖尿病を早期発見することを「2次予防」、糖尿病の重症化や合併症を防ぐことを「3次予防」と呼びますが、特定健診・特定保健指導はこのすべてをカバーする素晴らしいシステムなのです

A: 特定健診は、糖尿病予防健診といえそうですね! 無料だし、予防効果が高そうですし、日本人の多くが特定健診を受けているのでしょうね。

M: 実は、特定健診の受診率は低迷しているんです。健康なときは自分が病気になるなんて思っていませんし、「病気が見つかったらどうしよう」という怖さもあって受診をためらう人も多いようです。

ただ、特定健診は特定健康診査の略で、健康かどうかを診査する機会なのです。「けんしん、あんしん」という標語にもあるとおり、健診を受けることで得られる安心感は大きいですので、是非特定健診を皆さんに受けてほしいです。

A: 健診は病気探しと考えがちですが、健康かどうかを診査する機会と考えると前向きな気持ちになります。もし病気が見つかっても、早期発見なら色々な対処が可能ですよね。両親に特定健診を受けるように話しておかなくっちゃ! 

7. 糖尿病とは

M: さて、ここから糖尿病の病態をお話ししていこうと思います。

A: 病態……苦手な響きです(涙)。糖尿病は血糖値が高くなる病気というのは知っているのですが……。