第1章:糖尿病の病態・疫学
4. 糖尿病、4つに分かれる
A:3つ目の妊娠糖尿病は聞いたことがあります。糖尿病患者さんが妊娠したときですよね?
M:そう思っている人が多いのですが、誤りです。妊娠と関連する糖尿病には、「糖尿病合併妊娠」と「妊娠糖尿病」の2つがあります。
糖尿病合併妊娠は、①糖尿病患者さんが妊娠した場合と、②妊娠中に初めて糖尿病と診断された場合です。あきさんが答えてくれたのは、①に該当します。
A:なるほど、糖尿病を合併した妊娠だから糖尿病合併妊娠、覚えやすいです。そうなると妊娠糖尿病ってどんな状態でしょうか?
M:妊娠糖尿病は、糖尿病と診断するほど血糖値は高くないけど、血糖値が正常ではない状態です。
A:ん~なんか分かりにくい……。
M:妊娠中に血糖値が高めになるくらいのイメージでよいと思います。詳細は妊娠糖尿病の項でお話ししますね。
糖尿病の分類、最後の1つはその他の糖尿病です。遺伝子異常、肝硬変や慢性膵炎や膵臓切除術後など他の病気、ステロイド等の薬剤が原因で起こる糖尿病です。
A:糖尿病は1型と2型が有名ですが、妊娠とその他も覚えておきます!
5. 糖尿病パンデミック!?
A:先日ネットを見ていたら「世界の10人に1人が糖尿病」という記事を見つけてビックリしたのですが、糖尿病になる人ってそんなに多いんですか?
M:世界の糖尿病患者数は、2000年は1億5千万人、2021年は5億3700万人と爆発的な増加が続いていて、2045年には約8億人に到達すると予想されています。
A: 8億人!!!
M:世界で糖尿病患者の爆発的な増加が止まらないことから、“The diabetes pandemic(糖尿病パンデミック)”という言葉が使われるようになりました。
A:パンデミックって、新型コロナウイルスが広まったときに初めて聞いた言葉です。
M:本来パンデミックは感染症で使われる言葉です。糖尿病は感染症ではありませんが、感染症のように爆発的に患者が増加していることから、糖尿病パンデミックと表現されています。