2 邂逅 〜喜美子〜
出会うべくして出会ったのかもしれない。そう思うことが喜美子にはあった。
黒髪(角度によってブラウン色に反射する)ツインテール、色素の薄い目の虹彩、小柄でミニスカート、感情に従順なおバカちゃん、喜美子が一番忌避する存在だったはずだ。
少女は、白く艶やかな脚をむき出しにして膝を曲げて座り、下着が見えようがかまわず、隣のゴシックファッションを着た子と会話に夢中になっていたが、おもむろに立ち上がり、小さな尻の砂埃をはらって、ひらひらと手を振ってゴシックと別れた。
小さな片足が体を支え、もう片方へと重心を移動させる無意識のプロセスや、るんるん左右に揺れる軽快さに喜美子は惹き寄せられていく。
喜美子の26cmオーバーの足は、その窄(すぼ)まっていく少女の小さな頭を追うように前に出た。トー横にスーツ姿は場違いで、警官に職務質問されるのは寧ろ喜美子のほうかもしれなかった。
一定の距離を保ちながら後を付ける。
トー横が離れていく。