俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.08.13 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第5回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 囚徒らの汗と涙に開拓かれし 道はろばろとわれら旅ゆく 墓標なく土盛りあがる鎖塚 苦役のはてにここに息絶ゆ *鎖塚 亡くなった囚人工夫の上に土をかぶせた土まんじゅう。 鎖されしくさりを足にひきずりて 葬られしとふむごき慣ひに
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』 【第9回】 武 さき 夫の不倫で離婚してから一年。恋人なんて考えられないと思っていたが、「愛している」と耳元で囁やかれて... 火曜日、今日は素敵なレストランに行くと言っていたから、紺色のワンピースとグレーのカーディガンにした。上品かな。教室についた。「今日もとても素敵です。よく似合っています」「嬉しいです。ありがとうございます」素直に答えられた。今井さんと一緒に教室を出た。「時間があるのでお茶でも、しますか?」「いいえ、食事を美味しく頂きたいから散歩かお買い物とかしましょう」「僕、Gパンを買いたいな。選んで下さい」「は…