町の人々の生活を覗き見るような日々の暮らしがあった。洗濯物がはためき、子供の声が響き、食べ物のにおいがあった。連れてきてもらって感謝した。

でも感謝したのはここまで。歩きたいと言ってもだめ。連れていかれたのはたぶんなじみのスパイス屋。愛想のいい店主は何も買わないとわかると、早く帰ってくれと言わんばかり。

その次は宝石屋。これまた日本人びいきの店主はかつて日本に行ったときの話をし始める。宝石は好きかと聞かれ、興味は全くないと答えても、まあきれいなものだから楽しんでいけと言う。

でも本当に全く興味がなく、買う気もないとわかると、日本人とは話が合わないと、君子豹変した。

次は、ジャーマーマスジットという観光地の土産物屋。これもまた興味ないのでトイレだけ使ってパス。

つまり、こういうことだ。

ホテルは無料の空港送迎を旅行社につけさせて客を呼ぶ。

旅行社は観光客を待ちかまえ観光手配を請け負う。

タクシードライバーはリキシャに下請けに出し、2、3時間休憩する。

リキシャはチップと土産物屋からのお礼で潤う。

土産物屋は客を連れてきてくれて、買ってくれたら儲けもの。

きれいにトリクルダウンになっている。

ちなみにこの日、チャンドニーチョークは歩くことができなかった。その日はインド門に行って観光終了。こんな効率の良い観光は望んでいない。でも地図で確かめてみると、あっち行ったりこっち行ったりで決して効率の良い回り方ではない。

このドライバー、自分の休憩を優先したのかもしれない。どこもかしこも行ったけれど、行った感覚が薄いものばかり。有名どころを紹介するだけのテレビの観光番組を見たのと同じような感覚に襲われた。

4月27日

ハリドワールに行った。ガンジス川上流の沐浴場だ。沐浴場ではバラナシが有名だが、ニューデリーから列車で15、6時間かかり、飛行機も取れなかったので、ハリドワールにした。これは大正解だった。

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