多様性
私が好きなハワイにはハワイ大学があります。ハワイ大学ヒロ校は、アメリカの4年制公立大学の中で、人種的・民族的に多様であるかどうかという多様性指数で1位に位置していて、アジア人20・6%、白人20・2%、ネイティブハワイアンまたは太平洋諸島出身者9・6%、混血31・2%、その他のグループという割合になっています(2018年高等教育年鑑)。
先日、伊藤亜紗さんの「あふれる「多様性」を疑う「まるごとのあなた」を」という『朝日新聞』(夕刊)の記事を、高校の校長だった知り合いの先生が「新しい視点を与えてくれます」というメッセージと共にメールで送ってくれました。
そこには、分断が進行している日本にあふれている多様性という言葉は、バラバラな現状を肯定するだけの、生きた優しさや寛容さとは無関係な標語になってしまっていて、多様性を尊重するフリを見ているような気がする。
本当の多様性とは「Be your whole self.(まるごとのあなたで)」一人の人間の中にある多様性なのではないかと書かれていました。
「なるほど〜」と思いました。この「Be your whole self.」は心理学でいうところの実存に当たるのではないかと考えています。
実存(existence)とは「特に人間的実存を意味し、自己の存在に関心をもつ主体的な存在、絶えざる自己超克を強いられている脱自的存在」を言います。
まあ、なんと難しい説明でしょう! 簡単に言えば、自分自身のすべてをかけて人生を主体的に生き抜く存在ということです。そこには人種や民族だけではなく、その人のすべての側面が内包されているイメージです。
【前回の記事を読む】子どもが泣いたり間違えたりすると、親は自分を責めるけど…私たちは、産んで初めて親になる、「初心者マークの親」なのだから…