債務の対GDP比率が緩やかに上昇することは致命的なガンあるいはシロアリに荒らされることに例えることができる。初期段階では見えず、気づくこともないかもしれない。それでもそのダメージが取り返しのつかない完全に致命的になる時が来るのだ。

アメリカはそれに近い状態にある。私達が今どこに位置し、今の債務状況が「いつもどおりの状態」ではなく、何世紀にわたって基盤作りされた民主主義と国家安全保障が脅かされる全く新しい状況にあることを理解するためには、まずアメリカの債務の歴史を理解することが出発点になる。

アメリカ債務の歴史概要

簡単な経済学の概念が経済学者や専門家によって、普通のアメリカ人に理解できないほど拡大して解釈されているのは驚くべきことだ。

赤字、債務、債務の対GDP比率も同様だ。経済的測定ほどわかりにくく、人を無関心な、呆然とした状況に追いやるものはないが、同時にこれほど自由を守り続けるのに重要な物もない。

事実これらの概念は専門用語のもっともらしさを取り外せば、実に簡単なことなのだ。

赤字とは簡単に言えば、歳入を上回る支出をいう。アメリカ合衆国は年度ベースで記帳しているので、例えば、ある年の歳入が3兆ドルで、支出が4兆ドルの場合、赤字は1兆ドルになる。

債務とは過去の赤字の合計から、時折生じる黒字を差し引きしたものである。

アメリカは1999年と2000年以来黒字を計上したことはなく、それ以前では1969年だった。現在のアメリカの国家債務は22兆ドルである。

債務の対GDP比率とは債務を国の生産額で割って求めるが、国内総生産額、GDPを使う。

もし国の債務が22兆ドルでGDPが21兆ドルなら、その場合の債務の対GDP比率は105パーセント(22兆ドル÷21兆ドル=1.05)となる。

これら3つの概念、赤字、債務、債務の対GDP比率を押さえておけば、財政政策とかマネタリズム、ケインズ主義、それに中央銀行の謀略などの議論がたちまち明瞭になる。

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次回更新は11月8日(金)、8時の予定です。

 

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