投資の秘訣 その1
関税と貿易黒字の時代に戻ってきた。より重商主義的世界になると心得よ。
投資家は貿易黒字と金の保有蓄積そのものが目的になる、より重商主義的世界になると思って準備しなければならない。
具体的には、関税、互恵主義の高まり、そして国内生産に有利な税制整備が通常になる。これは第二次世界大戦後、特に冷戦後強力に追求されたグローバリストが求める多国間での自由貿易体制と、全く対照的なものである。
メジャーな国々は決して重商主義を放棄したわけではなかった。実態と表面上は常に違っており、先進諸国はリップサービスで自由貿易を唱えただけだった。
世界の貿易システムでは、赤字計上国は通常財政上の痛みを負わされるが、黒字計上国は常にある種の制約が課される。
ジョン・メイナード・ケインズは1944年のブレトンウッドでこの点を強調したが、彼の提案した黒字修正のための仕組みはアメリカによって無視された。
中国とドイツは貿易における最悪の反則者である。ドイツはユーロと欧州中央銀行を悪用して、ユーロ圏の周辺友好国との貿易で黒字をため込んだ。
それは次第に一種のベンダーファイナンスとなり、遂にはドイツに対する債務が巨大化したスペイン、イタリア、ギリシャが2010年に破綻寸前になるほどだった。
ドイツはユーロ圏南部への社会的支出の費用負担をすることで、ユーロ圏の顧客に対する債権を、IMFとアメリカの手を借りてリファイナンスし、ゲームを再開した。
中国は安い賃金、安い通貨、低コストの国内金融、それに無駄な投資で対アメリカ貿易で黒字を積み上げてきた。