標準治療より良い治療はないんですか?

標準治療は、お品書き“松竹梅”の“竹”の治療ではない

標準治療の説明をすると、「標準ではなくて、一番良い治療をしてください」という言葉が患者さんやご家族から出ることが多いので、表1に治療の種類を、文字は小さくなりますが、まとめてみます。

アメリカ癌学会で「トラディショナル・ケモセラピー」または「スタンダード・ケモセラピー」と呼ばれているものが、日本では「標準抗がん剤治療」に当たります。標準治療とは、科学的な根拠に基づいて、現在利用できる中で最良であることが証明されている治療で、公的医療保険の適用となる治療のことです。

標準治療は固定したものではなく、臨床研究により進化していきます。ある抗がん剤治療がボクシングのチャンピオン(標準治療)だったとしましょう。それより優れているかもしれないと考えられる治療があれば、それが挑戦者になるのです。そして、その二つの治療を比較する臨床研究が行われます。

まるでタイトルマッチのようなものです。チャンピオンがそのまま標準治療の座に収まっている場合も、挑戦者が新たなチャンピオン(標準治療)になる場合もあります。

標準治療以外の治療は要注意

治験や先進医療とは、現時点での標準治療より優るか少なくとも同等の効果のある治療を見つけるための研究で、種々の選択基準を満たした患者さんに参加してもらって行うものです。標準治療より効果的な場合もありますが、そうではない場合もあり、一部公的保険の適用になります。