そのうちの2つ、1998年と2008年のバブル破裂では世界の資本市場が完全な崩壊の寸前まで行ったのだった。

もし自由貿易、資本市場開放それに為替の自由変動制が歴史的に見て欠陥のある考えなら、なぜダボスに集まるエリート達はそれを容認するのだろうか? その答えは、これらの理論はエリート達の隠された課題の隠れ蓑になっているからだ。

その課題とはアメリカの国益を犠牲にして世界経済を成長させるということであり、世界におけるアメリカの力を削ぎ落とし、新興国、特に中国の力を高めようとしているのだ。

アメリカは歴史的に自国産業を高い関税で保護して栄えてきた。

アレキサンダー・ハミルトンの赤子製造業のための計画から、ヘンリー・クレイのアメリカ計画まで、アメリカは常に自国の産業を守り、アメリカ人に仕事を作り出すことで知られていた。

トランプはアメリカの伝統に戻ろうとしている。トランプは大統領就任の1年目である2017年は関税をかけることを自制した。

これは国家安全保障アドバイザーのH・R・マクマスター、国務長官のレックス・ティラーソンそれに防衛長官のジェームズ・マティスをメンバーとする国家安全保障チームのアドバイスのためだった。

国家安全保障チームはトランプ大統領にアメリカは北朝鮮との爆撃を伴う戦争を避けるためには中国の協力を必要としているので、中国とは貿易戦争はしないよう説得したのだ。

しかし、中国は北朝鮮に圧力をかけるためにすべきことをしなかった。信頼できる諜報データによると中国は国連による制裁を逃れるため、北朝鮮のごまかしに荷担していることが判明した。

更に傷口に塩をすり込むように中国はアメリカとの貿易での黒字幅を2,750億ドルとかつてない金額まで拡大させた。

北朝鮮に対する中国の協力が得られないことが明らかになったため、トランプは選挙キャンペーン初期の2015年に主張していた政策で中国に対抗するのに問題なしと判断した。その結果、2015年からトランプが計画していた貿易戦争は2018年に全面的に展開された。

この新しい貿易戦争の最中、CFIUSは有効な武器として表舞台に戻ってきた。2018年1月18日ロイター通信によると、CFIUSは非上場の中国コングロマリットHNAによるアメリカ企業の買収につきHNAがその株主の本当の実態に関する情報を提供しない限り、承認しないと決定した。

HNAはそれ以前にヒルトンホテルとドイツの大企業ドイツ銀行の重要な持ち分を買収していた。HNAはその後、その発行済み株式の半分以上は2つのチャリティ財団により所有されていて、それぞれ中国とアメリカの財団であると開示した。

しかし、これらの財団の受益者でかつ管理している集団の内容は不明なままである。