アイアムハウス
二
「秋吉さん達のことは、本当にお気の毒で、お葬式があるならお花はサービスしたいと思っているんですけど……」
「だいたいわかりました。経営は順調ということですね?」
「はい、冠婚葬祭やイベントはもちろん、十燈荘で行われる行事にはほとんどお花を届けさせていただいています。パーティーを開く方も多いですから」
「店頭や電話で注文を受けた花を、あなたが直接個人の自宅へ届けたりすることもあるのですよね」
「はい、ご要望があればお届けいたします。十燈荘内は送料無料ですし、お届け先が藤市内でも有料でお伺いすることは可能です」
「当日配達ですか。お一人で切り盛りされていては大変でしょう。配達は夏美さんがやられていたのですか?」
「いいえ、配達は基本的に私が行っていました。夏美さんにはお店での接客などをお願いしていましたね。予約、栽培、配達、管理、仕入れ、包装など仕事は山ほどありますが、私もルーティーンをこなすのは得意ですし、夏美さんが来られてからは、協力し合いながら二人で切り盛りしていた感じでした。
ただ、私の方がこの町には詳しいので配達の効率が良いんです。夏美さんはバイクも運転できませんでしたし。届け先がすぐ近くなら徒歩でも行けますけど」
「では、店の裏手にある花やハーブ、全て売り物でしょうか。これだけの規模となると、全ての手入れも毎日の水やりだけでも大変でしょう」