③静岡県危機管理部の岩田孝仁氏は『確率論的な地震予知では何も進まない』の中で『自然界の現象は基本的に揺らぎのある現象であり、物理現象として論じる場合には確率で論じることが正しいのかもしれない。

しかし、実社会の対応は確率で評価できるものではない。特に人間一人ひとりの行動は決して確率ではなくstop or goである。

地震発生確率が高いと人は安全確保の行動を起こすのであろうかという疑問が起きる。現実に今でも政府の地震調査研究推進本部が出している地震発生確率があるが、果たして発生確率の高い地域において実社会の人間の行動にはどのように反映されているのであろうか。

例えば、参考値であるが想定東海地震の今後30年の発生確率は88%(2012年1月1日現在)。これは一般常識としては非常に高い確率であるが、東海道新幹線は富士川河口断層の上を、ピーク時には数分間隔で千人オーダーの乗客を乗せた高速列車が走行している。

地震発生に備えてきちんとした安全措置を講じるためには確率ではなく白黒、もしくはグレーであっても黒が予見できる決定論的な情報発信が必要である。

確率論的な地震予知(予測)では、実社会の防災行動には結びついていかない。これが現実であると認識する必要がある。』(3)と訴えた。