7.日本地震学会:「地震予知」、「地震予測」を定義!

時間は前後するが、2009年4月6日イタリア・ラクイラで発生した地震(Mw(注)6.3)は死者300人、家屋の全半壊 20,000棟という大きな被害をもたらした。

イタリア政府の市民安全局は地震予測の現状を調査するための国際委員会を組織し、地震の短期予知と予測に関する知見の整理などの報告をもとめた。日本からは山岡耕春氏(現名古屋大学大学院環境学研究科長・教授)が参加。

2009年10月に公表された委員会の勧告では地震予知と予測の用語の定義を行い、予知は決定論的、予測は確率論的な地震発生評価と定義した。

その上で地震の発生過程は大変複雑であるため現時点では診断的前兆による決定論的な予知は困難であり、確率的予測が必要であるとしている。(「イタリアで開催された地震予測に関する国際委員会の勧告について」名古屋大学大学院環境学研究科より)

2012年10月、日本地震学会理事会として「日本地震学会の改革に向けて:行動計画2012」を公表した。その中で、「地震の予測」についても国際的な地震研究者のコンセンサスとしての①警報につながる確度の高いものを「地震予知」、 ②確率で表現され日常的に公表可能なものを、長期予測を含めて「地震予測」として区別することとした。

その上で、日本地震学会としては①の意味での「地震予知」が現時点で非常に困難という認識を支持すると同時に、 ②の意味で地震予知という言葉を用いないように努めるべきとした。


(注Mw:モーメントマグニチュードは断層の面積と断層すべり量の積に比例する量とされ、巨大な地震の規模を求めることが可能。なお、Mは地震計の最大振幅から求められ、地震波形から振幅を読み取ればすぐに求めることが可能。約100年にわたって採用されてきた。気象庁HP)

【前回の記事を読む】24時間365日の地殻の連続観測体制が確立。約100年をかけた、先人たちの念願は叶ったと言えるのか?

次回更新は10月12日(木)、8時の予定です。

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