飛燕日記

はじめからこちらが手綱を握っているとわかっていれば、行動は定まってくる。彼は私と似ていたから、自分がされて気持ちいいことをすればいいのだ。

手のひらに収めたものを刺激しながら、首元に口づける。シュウジさんはまた高い声を上げた。ひゃん、という声とともに腰が跳ねる。びくびくと身体を震わせる様子を見ながら、自分も普段はこうなのだろうかと少し肩身が狭くなった。

「どうやったらいくの」

「私が?」

挿入からしばらくしてのことだった。質問されて思わず聞き返す。

彼の手首に浮いたアイスグリーンの静脈を見やった。今日はスイッチが入っているので、いけそうにない。いつもは自分が壊されるばかりだったから、たまには壊す側を楽しむつもりだったし、てっきり彼もそれを望んでいると思っていた。だが、男性としてはそうはいかないようだ。

やはり間色の人間は面倒くさい。黄緑のような黄でも緑でもない色は、周囲を振り回しがちだった。よく言えば弟気質、悪く言えばわがままだ。