第3章 鍼灸師が扱う代表的疾患改善の施術法
更年期障害
1.概要
更年期障害とは、40代から60代(いわゆる、壮・中年から髙・老年)にかけての過渡期に見られる不定愁訴症であり、性ホルモンの急激な減少が主原因であるとされます。
2.症状
精神不安定・不眠・躁鬱・食欲異常といった神経症状や、頭痛・目眩・発汗異常・血圧異常といった血管症状、それと易疲労や体重増減といった不定愁訴症状が代表的なものです。
3.私の見解
更年期障害は、女性特有のものだと思われがちですが、男性にも見られるものです。女性にとってのエストロゲン、男性にとってのテストステロンは共に20代をピークに漸次低減していく内分泌性の性ホルモンで、この低減で現れるホルモン失調が更年期障害の主原因である事から男性にも見られるのは不思議ではないのです。
又、既述・「古典から学ぶ」霊枢54にも、各年代別の代表的愁訴が挙げられています。 40代からの白髪や50代からの眼症状は、典型的な更年期障害とも理解でき、改善に有益な経絡の表記にも、感心させられます。ぜひ応用すべきものです。
更年期障害は、東西両医学の統合的治療が効果的である代表的分野です。急激に低下した性ホルモンを補うための摂取療法の副作用を防止すると同時に、生来人体に備わっているホルモン分泌器官の機能向上を図ることによって、年齢相応のホルモンバランスに軟着陸させることができるからです。
・ 新経絡治療での経絡特徴としては、心経の虚証が多く、腎経や膀胱経の虚証もみられます。
・良導絡測定値では、腎経と膀胱経の左右差の他、肝経と三焦経の左右差もみられます。