第二章 日常を生きぬく事 くじけそうな時は
映画『NAGISA』村上もとか 原作
小沼勝 監督 フィルムシティ 二〇〇〇年
子供から大人へと成長する姿、健気さ、素直さ、気丈さ
夏も終わり、海の家は店を畳んだ。アルバイト料で念願のプレーヤーも買えた。しかし、心は晴れない。少年のお父さんがなぎさに会いに来て、少年が生前に集めた漂流物の標本を見せる。不明な石、空白の標本箱の枠、それらの謎を父親に話し、空白の枠には、ガラスのかけらを入れる。
秋の湘南の浜辺、人気のない波打ち際、なぎさは一人で歩きながら少年のために泣く。空白の枠の日、それはなぎさにとってとても大切な日だったのだ。
子供から大人へ、その過程のめくるめく多くの出来事をこの映画は芯がしっかりしたなぎさという少女を使って表現している。また、子供の健気さ、素直さ、そして、気丈さなども。
なぎさが水泳の特訓をした少年は一生懸命練習をする。これは少年のひたむきさを表しており、心洗われる場面である。
最後の場面、なぎさは友達と共に、笛付きの飴を食べ音の比べっこをし、シゲキックスを食べてすっぱがり、海で戯れる元の少女に戻っていく。まだまだ大人にはならないと言わんばかりに。