第一章 過去の足跡 先人の努力を見る
人々は古来、生きて行くために血のにじむような苦労を重ねてきた。
洪水や干ばつ、地震などの自然災害に苦しめられ、ある時は飢饉で多くの人々が飢え死にした。人々を苦しめたのは自然災害だけではない。権力者からの搾取、社会の制度や戦争、腐敗した政治なども庶民の暮らしや生き方にダメージを与えたのである。
しかし、そのような中でも多くの人々は地道な人生を繰り返し、身近なところで努力をし、また我慢をしつつ世代を繋いでいったのである。(『掘るまいか』、『山びとの記』)
この章では、過去、先人の努力によって構築されていったもの、改善されていったものなどの事例を紹介している。
時代の狭間で人生が翻弄された事例(『何が私をこうさせたか──
獄中手記』)や、トルコの軍艦遭難に対して献身的な救助活動をしたことが、九十年近くを隔てて、イラン・イラク戦争時、トルコ人が日本人にしてくれた好意(『海の翼』)に繋がっているという話など感動的な出来事もある。
さらに、新しい時代を築く若者たちの溌剌とした姿もある。(『沙羅の花の峠』、『若者たち』)