みんなで、よくがんばったね。

あれえ、なみだが、ぽろり。ドキドキワクワクして、ぽろり。

 

かぜをひいて、学校を休んでいた。

ひさしぶりの登校。

こういうのって、なんか、きんちょうする。

 

「おはよう、元気になった?」

りきくんが、ぼくのかたを、ポンとたたいた。

あれえ、なみだが、ぽろり。ほっとして、ぽろり。

 

給食の時間、

ぼくが、もりつけの係なのに、まさおくんが、している。

「おまえが、おそいからだぞ」

まさおくんは、そういったまま、代わってくれない。

だれも、何もいわない。

 

昼休み、ドッジボールをした。

まさおくんが、ぼくに、わざとボールをたくさん当てた。

先生にいうと、

「そんなことないよ。みんなに、当てたよ」

「そうだよ、そうだよ」

まわりにいた子たちが、いう。

 

ぼくは、下を向いた。

しっかり者のコハルちゃんが、

「まさおくんは、わざと、けんたくんに、当てていました」

「ぼくも、見ました」

かいりくんも、いってくれた。

あれえ、なみだが、ぽろり。ありがとうで、ぽろり。

 

ぼくは、さか上がりが、できない。

てつぼうをにぎって、なん度も、地面をける。

「てつぼうに、へそをくっつけろ」

いつのまにか、まさおくんがいた。

「ようし、もう一度」

思いっきり、足を上げた。

ぼくの足が、てつぼうの向こうがわにいった。

からだが、一回転(いっかいてん)した。

「やったあ」

 

まさおくんが、わらった。

ぼくも、わらった。

あれえ、なみだが、ぽろり。友だちが助けてくれて、ぽろり。

【前回の記事を読む】あれえ、たまねぎの皮をむくと、なみだが、ぽろり。なぜだか、ぽろり。

 

【イチオシ記事】配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と…

【注目記事】長い階段を転げ落ち、亡くなっていた。誰にも気づかれないまま、おじさんの身体には朝まで雪が降り積もり…