俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.08.09 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第3回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 天地の間を通ふ橋の上に 女と男の神が向きあひて立つ 泥の海に沼矛を差し入れころころと 掻き鳴らし引き上げたり 矛先にしたたる泥のかたまりて つひに淤能碁呂島が成りたり
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『メグ動物病院』 【第5回】 後藤 あや 人見知りのアルバイトに、「動物が好きなら大丈夫」と言ってくれたメグ先生 「そのバイトのミネちゃん、ていう子が言うの。『私ね、人見知りで人と話すのも苦手だったの。バイト先でもよく怒られて、高校の時から一カ月も続いたことなかったの。ここの面接の時に正直に言ったの。そしたらメグ先生が、『ここで相手にするのは動物だよ。君は小さい時から犬猫飼ってたんだね。ベテランじゃないか。人と話さなくても、大丈夫。動物が好きならやってみないか』って。それに、『困ったことあったら、俺でも誰に…