第2章

民主主義国家イスラエルに存在する社会主義的生活共同体キブツで働く

イスラエルを発つ数週間前、キブツの若者達とボランティアワーカーの為の遠足が企画された。目的地は、シナイ半島。当時シナイ半島は、イスラエルの領地であった。

私達は、キブツのトラックの荷台に乗り込み、シナイ半島の入り口であるエイラート(Eilat)の町を過ぎ、更にしばらく南下したところでキャンプすることになった。

キブツから持参したキャンプ用品でキャンプファイヤーをおこしバーベキュー。キャンプファイヤーを囲んで、ウルパンで教わったイスラエルの歌やダンスをして楽しんだ。夜は、テントは張らず砂漠の上に寝袋を敷いて寝た。

夜空に輝く満天の星空はまるでプラネタリウムのようだった。

スイス・アルプスの麓でアルバイト

イスラエルのキブツで1年余りを過ごした後、佳子ちゃんと私は、キブツで友達になったブリタニー(仮名)という名のスイス人女性を頼ってスイスのチューリッヒへ飛んだ。

ブリタニーは、私達を彼女が両親と住むチューリッヒ市内のアパートに案内してくれた。アパートには白い絨毯が敷き詰められており、どこもかしこも整理整頓されていたのが印象的だった。でも、それはブリタニーの家だけではない。チューリッヒの町全体が、清潔感に満ち溢れていた。

私は2018年に自転車旅行でチューリッヒを再び訪れたのだが、この時の町の変わりようには大変驚いた。壁にはグラフィティが描かれており、歩道はゴミだらけ。以前の清潔なチューリッヒの面影はどこにもなかった。

佳子ちゃんと私は日本へ戻る旅費を稼ぐ為に、スイスのスキーリゾートでアルバイトをすることになった。

ホテルアルペンローゼは、ペンションに毛が生えたような小さなホテルで、ブリッグ(Brig)という中堅の町から電車でモレル(Morel)という町に行き、そこからケーブルカーで15分程登ったところに位置するリーダーアルプ(Riederalp)という小さな村にあった。