第一部
幼少期
人生を振り返ってみると、私は幼少期から親の愛情に飢えていたと思う。
自分自身のことしか考えない母は、少しでも母親の中で否定的だと感じる言葉を娘の私が言えば、無視して、いないかのように振る舞う。
父親は仕事人間で、育児は母親がするものという考え方。
私は、あまり大事にされていたようには思えない。
愛されていると感じた記憶も、感覚も何ひとつ残っていない。
私が幼少期に強く記憶に残っているのは、二つ年上の兄と同じ部屋で眠るようになった4歳、5歳の頃の出来事だ。私が夜中に突然、地団駄を踏んで泣き喚き、父と母の寝ている寝室へ行くと、母はドアを少しだけ開け「早く寝なさい」と冷たくあしらわれたことだ。
泣きながら子ども部屋に戻り、一人で布団に潜り込んで眠ったという記憶だけが、ハッキリと残っている。