ところが、私たち若夫婦はいくらでも休めるのだが、両親が休み方を知らなかったのだ。これには本当に驚いた。休みの日なのに、仕事をしている以上に疲れた様子だった。だから、その日は "お互いに干渉しない日 "と決めた。

仕事をしたい人はすればいいが、他の人を誘わないということにした。これなら、両親も納得するだろう。結局、仕事をしていた姿を見て、私たちは笑ってしまった。

また、私は農作業にどっぷりつかりたくない、という思いから習い事に通わせてもらった。元手のいらないお稽古事はこれしかなかった。それは、きものの着付けだった。もともと着物は大好きだった。嫁入り道具の中にも着物が何枚も入っていたからだ。

週に一度、それも夜に通った。後追いする子供を夫に引っ張ってもらって通ったものだ。そのかいあって、「きものの着付け講師」の資格を得た。農業をしながら、着付けの副収入もあり、本当に充実した毎日だった。

また、パソコン教室にも通った。石川県では、県民大学といって知事が認可した勉強の場がたくさんある。私はその中から、車で通える範囲にある県立高校のパソコン教室を選んだ。

一日おきの勉強だったが、三時間ぶっ続けは大変だった。受講生のみんなが一生懸命で休憩をとる人がいないのだ。農閑期を利用して、三年間は通ったであろう。どんな習い事でもそうだが、これで終わりだということがないのである。

【前回の記事を読む】「あなたの職業は何ですか?」学生の頃の私は今の私の職業を予想できるだろうか。

次回更新は9月16日(月)、11時の予定です。

 

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