第一章 認知症におけるEQ

IQとEQ

今までの話を図にしてみました。

 

 

黒い線がIQを表しています。義務教育で学校に行き、学校のテストで良い点数を取れるように勉強しますが、ほとんどの方はこの時期、特に大学受験までの時期に多くの勉強、つまりIQを伸ばすトレーニングを行います。

その後社会人になり、さらに勉強を続ける方もおられますが、実務に追われなかなかIQを伸ばすためのトレーニングに時間を取れなくなります。

また、大学受験の後の人生ではテストを受ける必要がありません。ですからあえてIQを伸ばすトレーニング、つまり大学まではイヤイヤやっていた勉強をほとんどしなくなります。テレビでクイズ番組のクイズに挑戦するくらいでしょうか? この間、継続的な訓練をしないのでIQは下がり続けると考えられます。

また、脳は老化しますので「自分のIQは生涯ずっと変わらない」という勝手な思い込みとは裏腹に、だんだん記憶力、理解力が低下していきます。そこで一念発起して上の図の下の矢印のようにIQを再び元に戻そうと努力することがあります。そんなことをしながらも結局、次第にIQは下がり続け、高齢と言われる時期に至るわけです。

さすがに現役を引退し高齢者の仲間入りをすると、自分のIQが下がってきたことを認めざるを得ません。しかし、それでも「自分は他の人とは違う」「一人で生活できているからまだ大丈夫」と思いたいのが人情なのです。ですので、脳トレをしてまたIQを伸ばそうと頑張るわけです。

しかし高齢になると身体と同じように脳も老化しています。残念ながら若い時ほど訓練の効果が上がらない、つまりIQは上がらないという結果になってしまいます。