「せっかくのお休みなのに申し訳ございません」と私が言うと、
「人工呼吸器装着の重度障碍者の介護をするということは、痰の吸引がなくてはならないでしょう。こんなこと当たり前ですよ。むしろ遅かったと思いますよ。お母さん(この辺では妻たるもののことをこう呼ぶ)そんなに悪がることはありません。私たちヘルパーとしては当然のことですよ」
ケロリとして言ってのけるヘルパーさんたち。私は本当に頭が下がります。またある日、ヘルパーさんのカバンの中にALSと言う文字を見つけ、何の本かと見せていただきました。ちょっとためらっていらしたその方は、
「私はこちらに伺わせていただくようになったのですが、恥ずかしいことにALSと言う病気について何も知りませんでした。だから今頃になって、少し勉強しなくてはと思って・・・」
と遠慮がちに言われるのです。その本を手に取ってみると、びっしりと書き込みがしてあり、色のマーカーも使われており、勉強の跡が見て取れます。その熱心さにはただただ驚くばかりです。
ところが、わが『チーム昭四郎』にはこうした方が何人もいらして、参考書の交換をしてお互いに力をつけあっているということなのでした。これを知った私は、夫を始めとした私たち家族は、本当に幸せ者だと心の底から感じました。私たち家族は、これらのすばらしいヘルパーさん達の『心』に応えるためにも、自分自身も今まで以上に力を振り絞って行かなくてはと思いました。
【前回の記事を読む】【闘病記コンテスト大賞】ヘルパーさんに負担の多い喀痰吸引研修を自ら進んで受講しようとする姿に尊敬の念を抱く
次回更新は9月10日(火)、11時の予定です。