筋萎縮性側索硬化症患者の介護記録――踏み切った在宅介護

『チーム昭四郎』

おかげさまで二年八か月

まだまだこのALSとの長い闘いは序の口に入ったばかりです。これからも辛いこと、苦しいことがたくさん続くことでしょう。でも、ベッドの上で身体も動かず、言葉も一言も発することが出来ずにいる夫を思う時、泣いてなんかいられません。

『チーム昭四郎』のこの強力な支えをいただき、夫が一日でも長く生き延びて(生きていて良かった)と思ってもらえる一瞬一瞬を創り上げていきたいと思います。(みなさん、私たち家族に力をお貸しください。どうぞよろしく)とそっと心の中で手を合わせました。

『ドスコイお姉さま群団』参上

「堀内さん、こんにちは。一週間元気してましたか」という声と競うようにして療養室になだれ込んできた一団。『ワールドサポート』のみなさんです。

先ず、プリプリの生きのよさそうな、はちきれそうな大きな身体を白衣に押し込むように包んで現れた女性。このチームのチーフ、古川さんです。その後ろに、たて、横共にか細い男性が二人、女性一人が楚々として従っています。これが実に妙を得たバランスを保っているのです。訪問入浴隊として毎週わが家に来られるメンバーの一団です。

私たち家族が『ドスコイお姉さま群団』と命名いたしました。通常は太さの問題はさておき、男性二人、女性二人で一チームが構成されているようです。

このチームの隊長、ドスコイお姉さま古川さんは、看護師の資格をお持ちで、療養室に一歩足を踏み入れると、実に手際よくベッド上の夫に声を掛け、その顔色や機嫌を観察しているようです。そして、血圧、脈拍、血中酸素飽和度を測り、記録します。また人工呼吸器上に表示されている数値を丁寧にチェックします。実に多角度に機転の効くすばらしい方です。

チーフがこれらのチェックをしている間に、他の群団員は、黙々とお風呂の準備をするのです。部屋中に大きなビニールシートを敷き、何十枚というたくさんの真っ白なタオル類を取り出し、バスタブ設置予定場所の周りに積み上げます。

次にトイレの蛇口から水を汲み上げ、階下に停めてある車の中でお湯に沸かします。それを大きなモーターで吸い上げ、二階の療養室まで配送するのです。夫の療養室は二階なので、この水をどのように手配するのか心配しましたが、そこはプロ。何の苦労もなく段取りをしてくださいました。

ここで、男性群の力によってバスタブの設置となります。バスタブは長方形で、大人がゆったり寝て入れる大きさです。長々と身を横たえる部分と、頭などを洗う部分の大小二層に分かれており、パチパチとはめ込みの組み立て式になっています。