義昭
「何! 信長が本当に京に火を付けたと! そんなばかな! ワーッ本当じゃあ! 火が迫ってきておる! 大変じゃあ!」
清信
「公方様、敵が城の濠の廻り四か所に、それぞれ見上げるような高い櫓を建てておりまする! これでは城内が丸見えで、鉄砲を撃ちかけられたらひとたまりもありませぬ」
義昭
「ウーム……何と、信長は本気にこの儂を攻めるつもりか? 何、櫓を建てたと……! ウーム如何ともしがたい……清信、何とかならぬのか……信玄はどうした!」
⇒信玄は何をしているのじゃあ!! あれほど督促の教書を頻繁に出しておるのに一向に返事がない! 本願寺顕如も何を手間取っているのじゃあ! これでは間に合わぬではないか……。
清信
「公方様、櫓の上から城内に鉄砲を撃ち込んで参り、何人かが負傷致しましたあー」
義昭
「何! 鉄砲を撃ってきたと! ワー、風向きが変わり、煙が館にかかってきた。このままでは火が館に燃え移ってしまう! 清信、何とかしろ。信長に止めるよう申し伝えよ!」
清信
「はっ。しかし、如何ように伝えますか」
義昭
「止むを得ん、この度は降参じゃあ、朝廷に和睦を奏上すると伝えよ。再起を期すしか方法はあるまい! 急げ、火がそこまで迫っておる、ゴホゴホ、煙もひどい」
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