第3章 室町幕府の崩壊
3.上京燃える
四月六日<和睦の勅使(信長本:本能寺)>
仙千代
「上様、過日兼右(かねみぎ)殿から家督を継がれました、兼和殿が勅使を連れて参られました」
兼和
「信長様、本日は朝廷よりの勅使として、関白二条晴良様をお連れ致しました……」
晴良
「二条晴良でおじゃります。本日は、弾正忠織田信長殿より要請のあった、『将軍足利義昭との和睦』について、帝様よりかくのごとく『和睦すべし』の綸旨を賜りましたので、申し伝えるため参上致しました」
信長
「ありがたき御言葉、痛み入ります。あとは公方様次第でございますれば、信長に異存はございません。ご足労をおかけ致しますが、公方様にもすみやかに申し渡しくださるようお願い申し上げます。光秀、早々に二条晴良様を公方様の所にご案内し、この綸旨のお返事を受け賜われ。儂は今より直ちに岐阜へ戻る」
⇒朝廷もようやく折れたか、全く手を焼かせおって! されどこれで一息つける。もしあの信玄坊主が進撃してくるなら、どこで迎え撃つか……至急全力で立ち向かえる体制を造らねばならない……浅井の他に立つのは本願寺顕如か、根来の者共か……。
光秀
「ははっ……承知仕りました。兼和殿、二条晴良様をご案し、早速公方様の所へ参りましょう!」