愛しき女性たちへ

ヒトは子育てに異常に長い時間を要する動物だ。生まれた時はもちろん、その後何年間も一人では生きていくことが出来ない。

キリンやヌーなどの草食動物の出産シーンをテレビなどで見ることがあるが、生まれ落ちてすぐに自分の足で立とうとし、何回も失敗しながらもその日のうちには母親に付いて歩き出すのである。

これは肉食動物の餌食にならないために選択されてきた能力なのだろうが、ヒトは自分の足でよちよち歩き出すまでに一年、自分でちゃんと食事が出来るようになるまでに三年くらいは掛かり、一人で生きていくためには更に十年以上を要するのだ。

その間、メスは子育てに掛かりっきりになるので、オスに食料を届け続けてもらわなければならない。そんな大変な子育てが前もって想像出来るなら、誰も子供を産んで育てようなどと思わないだろう。

そうすると子孫を残すという種の最大の使命を果たせなくなりヒトは絶滅してしまう。そうならないようにドーパミンが分泌されて恋愛状態を継続させる手法が選択されてきた。

そして三年でドーパミン効果が薄れてくると恋愛感情も無くなり、統計上は結婚四年目で離婚する傾向が高くなる、ということらしい。

つまり恋愛感情だけを頼りに一対一の夫婦関係を継続するのは困難な動物なのだ。

自然界ではオスとメスの関係は一時的であることがむしろ一般的だ。一夫一妻型の哺乳類は三~五%程度で、人間には発情期が無く脳はいつでも同時に複数のパートナーを持てるのだ。

さらに、新しい刺激が無いとドーパミンを得られないとも言われている。