愛しき女性たちへ
六
同法では不特定の相手と性交することを売春と言っており、特定の人の場合は対価をもらっても売春にはならず、十八歳以上の相手であればお金を支払っても逮捕されることは無い。愛人や恋人に金銭を渡しても罪にはならないのと同じ事だ。
つまり、個人的に付き合ってセックスをし、金銭の授受があっても法令には抵触しないのだ。
女性たちがそこまで理解した上でサイトでの出会いと付き合いを行っているかはわからないが、パパ活に抵抗が無い現代の世情が見えてきたように思われた。理佳子は二十三、四の若い頃から年配の男に囲われて、愛人として育てられてきた。
それなりに洗練され特段の不満も無い時間を過ごしてきたと思うのだが、一方普通の二十代から三十代の女性の楽しみ、同年代の友人とのおしゃべり、恋愛、恋人との食事やお酒を飲みながらの楽しい語らい等が、すべて置き去りにされてきたのかもしれない。
そしてその手枷足枷が取れた今、自由に、自分好みの男と遊びや恋愛に興じることを楽しみたいと思っているのだろう。
理佳子は長年束縛されてきたのだろうか。
再度理佳子と食事をすることになった。横浜駅にほど近い洋食屋だったが、理佳子はちゃんと秀司の好みの日本酒を手土産に持参してきた。そのあたりは実にそつが無い。これも元パパに鍛えられたことなのだろう。
すでに秀司の気持ちは冷めて、食事の先も今後の付き合いも考えていなかったので、思い切って前パパについて理佳子に聞いてみた。
相手の年配の男性は理佳子が勤める高級ブランドショップの客だった。
何度か接客し親しくなり、理佳子を指名して高額な商品を買ってくれる上客だった。理佳子は正社員だったが基本給は安く、商品を売ると一定率のリベートが入るので高額商品を買ってくれる客の存在はありがたい。
そんなリッチな客が馴染みとなりちょくちょく買ってくれるとなれば嬉しさから距離も近くなる。そんな頃食事に誘われた。