第1章 くしろ子ども未来塾
体育嫌いの子でも跳び箱を跳べるのはなぜ?
くしろ子ども未来塾は学校と違い、跳び箱を跳べないことを恥ずかしいと感じる場面がありません。なぜなら、最初は跳べないのが当たり前だからです。
皆さんの記憶にありませんか? クラスのみんなが見ている前で跳び箱をさせられ、跳べない自分をとても恥ずかしいと思ったこと。跳べないからといって特別に何度も練習させてくれたわけでもなく、それで評価されたことが子どもの頃の嫌な記憶として残っている私は、跳び箱を未来塾の必修としたのです。
子どもに苦手なものを作らないようにしてあげたいという思いです。先生の上手な指導のお陰で確実に跳べるようになっていくのですが、諦めない気持ちが跳ぶことを可能にしています。
日本の伝統文化が大人気、なぜ?
未来塾の文化講座は、世界に類がなく、誇れる日本の伝統文化に力を入れています。
海外で活躍する人が、「自国を語れない日本の若者」「自国の文化を知らない日本人」などと揶揄(やゆ)されたという話を聞いたことがあります。
幼少期から日本舞踊に深く関わり、長く伝統文化の中で生きてきた私は、言われるまでもなくその気配を感じていましたので、未来塾ではそれらの講座を充実させてみたいという願望がありました。
確かに日本の伝統文化は低迷していると思います。華道、日本舞踊、お琴、茶道など単独で子どもたちを対象にした講座を開いても、子どもが集まらないという声を各講座の先生から聞いていました。
ですから未来塾で講座を開きたいとお願いした時、多分子どもが集まらないと思うと不安視されたものでした。これからの子どもは海外で活躍することも多くなるでしょう。そのため海外では人気のある日本の伝統文化を少しでも体験して外国の人たちに語ってほしいのです。
設立間もない各講座では、やはり「子どもたちが来るのかしら?」「講習会をしても集まらなかったのに」と口々に不安を漏らす先生たちがいらっしゃいました。
でも不思議! どの講座も大人気なのです。
やってみて分かったことですが、親が自分の興味のないところに子どもを連れて行かないので、子どもたちの視界に入らなかっただけなのですね。子どもたちは開放されているドアから見えてくる様子に興味を引かれるのか、何の抵抗もなく教室に入ってきます。
日本舞踊、お琴、茶道、華道、書道、囲碁、詩吟、毎回大盛況で、先生たちは汗だくです。思いがけない反応に嬉しい悲鳴を上げ、日本文化の裾野の拡大に貢献できることを喜んでいます。