『付録』は介護はクビ
「在宅介護は体力勝負だ」と言う言葉をけっこうあちこちで耳にしたことがあります。夫の在宅療養が始まってしばらくして、この言葉を実感として噛み締める出来事が起こり ました。
実は当初の予定では、介護室に介護用ベッドを設置し、夜から朝までは私が付き添い、 昼間はヘルパーさんのお力を借りるということにしようと、家族で決めました。
そこで畳屋さんにお願いして、畳を作っていただいて、畳付きのベッドを介護室に入れました。
しかし、ここで『朝のトイレ』と言う伏兵があることが判りました。朝起きてすぐのトイレには、私一人ではとても対処しきれません。仕方なく、子ども達二人が介護室に泊ることに変更となりました。
朝六時半、私は三階から介護室に出勤?します。
朝、まず三人で夫のトイレを済ませます。それがわが家の一日の出発となるのです。
この排泄行為は、まず息子がそっと夫を抱き起こします。そしてベッドの縁に夫の身体を移動させます。その間に、一人は吸痰の準備を整えます。
この準備が完了すると、そっと夫を吊り上げるような形で、ポータブルトイレに移動させます。この時、呼吸器を一時外すのです。
それと同時に下着を素早く下ろすのです。 この呼吸が合わないと大変です。そしてそれが出来た事を確認して、呼吸器をはめ込むのです。ほんの数秒です。
そしてトイレにしっかりと座らせます。この時、間を置かずして吸痰をするのです。
吸痰、排泄が終わると、素早く下着を上げ、そっと元の位置に座らせます。そして衣服の皺をきちんと整え、横にさせるのです。
この形が整うまでにかなりの試行錯誤があり、やっとこのところ落ち着いたのです。 この呼吸、スピードなどなど、とても私一人では至難の技です。
こうして私はおかげさまで、介護当事者から『付録』の存在へ名誉の格下げとなったのです。有難いことです。
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次回更新は8月13日(火)、11時の予定です。