第1章 ヒト生体の情報処理
3 受容器官
2次元と3次元
ヒトは、3次元の住民である。日常の生活空間は、その豊かさを備えている。立体視の仕組みには、単眼視によるものと両眼視によるものとがある。
ヒトは、3次元物体を紙という2次元空間で表現する。2次元のほうが、認知に要するエネルギーは小さい。そして、紙を持ち歩いたり、別のところで3次元を再現したりする。絵画、漫画、浮世絵などとして、仲間に感情や心を伝えたりもする。ヒトは、表現を縮退して、逆に高度な精神活動をしている。
現在のコンピュータでも、ヒトは、画面という2次元空間で世界を眺める。それで高度な精神活動を行うことができる。ところが3次元世界にあった豊かさを生かしていない。例えば、3次元世界には、モノやヒトの間に位置関係や遠近などがある。これらは、アプリのコンテキスト制約として利用できるのに。