私自身はその時周りが全く見えていなかったのだが、何事と思ってひやひやしながら私を見られた方も相当いただろう。こうして四日目の朝は、恐らく最悪の状況で始まった。

この日はフィレンツェの主要観光地を見て回ってから斜塔で有名なピサに足を伸ばし、最後にフィレンツェの露店を堪能するスケジュールだった。

最初に訪れたのはフィレンツェのシンボル、ドゥオーモ。赤レンガの巨大な円形の屋根が特徴的な建築物だ。その内部の印象はと言うと、サン・ピエトロ大聖堂よりももっと暗いが、代わりにほとんど白一色で品良くまとまっており、サン・ピエトロ大聖堂とはまた異なる荘厳さがある。

最も驚いたのは、バチカン市国でも見た天井壁画があったことだ。こちらは一箇所ではなく何箇所かに技巧を凝らした絵が描かれており、言葉少なく言えばドゥオーモの内部構造も併せてよく分かるところが興味深い。

時間の関係上、ドゥオーモの約三〇〇段以上ある階段を上ってフィレンツェの街を一望するのは不可能だったが、ルネサンスを代表する建築物を外から中まで堪能できた。

また私は、この時のガイドで「パトロン」の由来も知ることになり、そこから派生してメディチ家の文化にも興味を持つようになった。

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次回更新は7月29日(月)、11時の予定です。

 

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