第一章

「ガラス?」

軽いからガラスではないかもしれない。しかし硬くて透明でガラスみたいな触り心地がする。その小さな瓶は口にコルクがついていて、中には筒状にまるめたほんの小さな紙切れが入っている。

(これ、ひょっとしてボトルメール? さっきの動物が飛ばしたの?)

私は周囲を見た。辺りには似たようなものなど一つも落ちていない。ただのいつもの海岸が広がっている。

スコールみたいだった水しぶきも完全に止んで、お兄ちゃんがこっちを見ていた。

両親はおばあちゃんのところに居てくれた。

私はその場でコルクの蓋を抜いて、中の紙を取り出す。

さっきの飛び跳ねた鯨、大波、水しぶき、そしてこれ。

ただ事じゃない。私は経験したことがない驚きで、両親のもとに踵を返して駆け戻った。

第二章

おばあちゃんの引っ越しはみんなが手伝った。

お兄ちゃんもあの日以来、しっかりおばあちゃんに向き合って協力している。お父さんやお母さんはもちろんそうだ。

施設に来て、おばあちゃんは自由に過ごせているようにも見えるけど、やっぱり家族での時間が大切だと思う。私が何より、昔みたいにおばあちゃんのそばに行くようになった。施設の係の人とも顔なじみになったし。

おばあちゃんが施設に来るときに、常軌を逸したあの出来事のその続きもついてきた。慌ただしい人生の大きな引っ越しの中に、何か異質としか言えない欠片のようなもの。それがあまりにも不思議な出来事だったから、おばあちゃんの周りには何かが起きているって考えるほかない。

この出来事のおかげで痴呆が進行しないように働くのなら一番良かったのだけど、そこは残念ながらそうでもないらしい。だけど、私はそんなおばあちゃんにもなるべく会いに来てなるべく寄り添ってあげたいと思っている。