電車の走る場所
「あ、やっぱり知ってるんだ。吉村くんは原田くんの友達だって言ってたから」
そう言ってチーズとワインを口にする奈美に、原田は血の気が引く思いで言った。
「吉村と会ったの?」
「うーん、会ったっていうか……来てくれるんだよね」
「来る? ……ここに?」
「うん」
うれしそうに笑いながら言う彼女の言葉に、原田は動揺していた。そんなカレシを隣に置きながら、奈美は吉村のことを語り出した。
「最初は夢の中で会ったと思っていたの。だって、夜、眠った後に声をかけられたから。でも、ちょっと違うってわかって……」
そう言うと、奈美はフフッと小さく笑って話を続けた。
「初めはビックリしたけど、原田くんの友達だって聞いたから、ちょっと安心して心を許しちゃったんだ。そしたら、流れでドッキングしちゃって」
「え……」
原田は奈美の言ったことがすぐには理解できなかった。そんな彼に、奈美はうれしそうに話を続ける。
「彼、テクニシャンで、なんかスゴイの。あたしの感じるツボが全部わかるって言って、ほんとにそのとおりなんだ。自分が知らなかった体の感性が開発されちゃったみたい」
「おい、何言ってんだよ」
うれしそうに吉村との関係を話す奈美に、原田は腹立たしさを感じ、彼女の肩をつかんだ。そのとき、奈美が部屋の入口方向を見て言った。
「あっ、吉村くん」
「え」